★ハモリ に ハマル 理由★

カラオケは、自分が楽しければそれでいいんだ

と、言う人がいる。確かに一理はあるけど、そんな言い方をされると

だったら、誰もいない海で(笑)、一人で唄えば?

と、言いたくなる。

カラオケが好きな人のほとんどは、 「聴いて!お願い!」と、思ってる。

とは言っても、所詮はシロートの歌。
義理で拍手はしても積極的に聴く気にはなれない。
ほとんどの人は、メロディー付きの騒音、ぐらいにしか思ってない。

大勢でカラオケに行っても、他人の歌など誰も真剣に聴いてない。
自分の曲探しに大忙しである。

でも、ハモリや合唱は違う。
少なくとも、お互いに意識が向き合う。
お互いの歌を聴き合わなければハモリや合唱はできない。
しかし、それだけではない。・・・・・・・・では、それ以上のもの、とは・・・・と

いうところで、あとは最相葉月氏の「絶対音感」に任せよう。←てぬき・・・(^_^;)



人間はコンピュータの域をはるかに越えたとんでもないことをしてしまう。

たとえば、オーケストラで幅40メートルに広がった100人が、何故、わずか0.何秒の指揮者の合図で、同じ瞬間に音を出せるのか。

なぜ、国技館で五千人が「第九」を演奏してしまうことができるのか。(中略)

指揮者の大友直人は、オーケストラは日々感動するほど不思議だという。

一人一人が正確にリズムを刻み、正しい音を出す。一人が全力でその音楽に集中すると、全員の波長が合ってくる。もはや指揮者の手に合せてという次元ではない。

全員でひとつの流れが出来ると、最高の快感だった。神様が見えた、などと口にする人も出てくる。

「では、指揮者は何をやっているのですかといわれますが、極端な場合はもう立ってるだけなのです。もちろん立ってるだけではできないのですが、それぐらいみんなで気を合せてやれば、ピタッと合ったり流れたりするのです。音楽の醍醐味とはそういうところです。

そして、何故僕がオーケストラが好きかといえば、一人では絶対出せないエネルギーがオーケストラだと出せるからなのです。もちろん集まる人間によってずいぶん変わりますが、自分が100%だとすると、オーケストラではそれが120%にも200%にもなることがあるのです。

こればかりは一人でピアノを弾いていても、一人でバイオリンを弾いていても、そういう事はなかなか起きないですから。

200年たってもベートーベンがおもしろいと思いながら演奏できるのは、生身の人間が色々な情報をやりとりしながらアンサンブルすることで作り上げていく、そのおもしろさにとりつかれているからだと思います。


最相葉月・著「絶対音感」より



この文章を読んで、自分がなぜハモリが好きなのかが少し分かったような気がしました。
合唱や、バンドの経験がある人は、もっと分かるかもしれませんね。

ハモリにハマってしまうと、ひとりでは歌えなくなります。

ひとりで歌うのが味気なくてしかたない。

ハモリやデュエットの時はお互いを意識しなければなりません。そこで、曲に合わせながらする”かけひき”が楽しいんですね。

相手が自分より歌のうまい人の時に感じる緊張感も楽しい。(相手は迷惑?)そして、お互いの息がぴったり合った時の快感はまさに至福!(笑)

そのエネルギーのキャッチボールでどんどんテンションが増幅していきます。

そんなときです、練習では絶対うまく出来なかった微妙なハモリがなんの苦もなく出来たりするのは。

この状態の時は「俺って天才?」と思うくらい何でもできるようになるのです。

この至福感は、自己陶酔とはまったく違ったものです。

自己陶酔は、我を忘れてますが、この時は意識が鮮明になってます。
身体と心は非常にリラックスした状態で、周りの状況はまるでストップモーションがかかったように、はっきりと把握できます。

音楽を含めて、芸術にたずさわる人は、いつもどこかでこの瞬間を求めているのかもしれませんね。